MAYUKA SAKAI

COMPOSER

FinaleScriptを使って五線番号付きでパート譜をPDF書き出しする方法

Finaleでパート譜のPDF書き出しを通常の方法で行うと、左のようなファイル名で書き出され楽器の名前順に並んでしまいます。右のようにパート番号をファイル名の前に表示させて上から木管→金管→リズム→弦とスコア譜上の順に並ぶようにすることでファイルの管理がとても楽になります。

Sibeliusでは下のようにExportからパート譜を書き出すときにパート番号を付ける方法があります。

ファイル名に ”%n”を加えることでパート番号がつきます。

Finaleにはパート番号という概念がなく、またPDF書き出しの際に自動で番号を付加するような機能もありません。しかしスクリプト、FinaleScriptを使うことで五線番号付きのPDFファイルを書き出すことができます。

設定は少しめんどくさいですが、何曲分も一生やる作業なので自動化するのが便利!

まずはじめに、ただ単にパート譜をPDFに書き出すだけならキーコマンド「P」で出てくるプリントダイアログからできます。

印刷設定で書き出したいパートにチェックを入れ、左下のPDFポップアップメニューからPDFとして保存を選びます。出てきたウィンドウでタイトルと保存先を設定して保存する。すると「M2 – Bass Clarinet」のようにタイトルの後にパート名が付いた形でそれぞれのパートが自動で書き出されます。

これだと並びはアルファベット順です。手打ちで五線の番号を付けてもいいのですが、それより早い方法がFinaleScriptを使ったやり方です。


1.パート譜を別ファイルとして書き出し

まずパート譜の調整が全部終わったらパート譜をバラバラの.musxファイルとして書き出します。

メニューバーからファイル>パート譜を別ファイルとして書き出し… を選ぶ。

ダイアログでファイル名を設定します。

次の条件で自動生成のラジオボタンにチェックを入れ、自動で生成される変数を指定します。

%n TITLE - %p.musx

とします。(ここの並びは自由に組み替えてOKです。%nはスコアの上から順に五線番号が振られ、%iはこのファイルに五線を追加した順になります)

作成後パート譜を開くは特に必要ないのでチェックを外しておきましょう。

保存先 にパート譜用のフォルダを設定し”OK”をクリック

するとこのように「001 M2 – Flute」五線番号、タイトル、パート名といったファイル名で書き出されます。

ここで問題発生・・・

例えばPianoパートは”015”ですがその次のElectric Bassは”017”になってしまっています。これはパート番号ではなく五線番号である所以で、つまり大譜表のパートがあると番号が一つ抜けてしまうのです。

これはFinaleの仕組み上仕方ないのか、残念ながら解決法はまだ探しきれていません。

どうしても直したい場合は手入力で該当パート以下の数字を打ち直すしか方法がないという。(泣)
*もし良い方法をご存知の方いましたら教えてください>_<

でもスコア譜上の順に並べることが目的であればスルーしていい問題ですね。


2.スクリプトを書く

続いてスクリプトを作ります。

メニューバーから プラグイン>FinaleScript>FinaleScriptパレット>新規作成を選ぶ。

こんな感じで、「Export PDF Part」という名前でスクリプトを作成しました。

これはデフォルトでFinaleに入っていた「画像ファイルへ一括変換」というスクリプトを参考にPDF用に簡単にしたものです。

Batch Process Folder
//Process all open docs

Graphics tool
Menu item "ページのグラフィック出力"

//Check "以下のファイル名から自動作成"
Popup "PDF"

Check "すべて"

Press "OK"
expect to return//PDF作成時
Close

End

”Batch Process Folder”と一行目にあるのがフォルダを一括処理するという命令です。そしてグラフィックツールを使って.musxファイルをPDFファイルとして出力するという作業内容になっています。

スクリプトの詳しい書き方については、公式チュートリアルのFinaleScriptの使い方へ。


3.一括処理する対象のフォルダを指定する

続いてどこのフォルダを処理するのかを設定します。

FinaleScript>オプション の設定画面を開き、一括処理元のフォルダを指定の横にある選択ボタンから、先ほどパート譜を書き出したフォルダを指定。

一括処理先のフォルダを指定の横にある選択ボタンから、新たにPDFを保存するフォルダを指定。


4.スクリプトを再生

以上の設定ができたら「Export PDF Part」のスクリプトを走らせます。

意外と後ろで人が処理してそうな速度です。笑

完了したらフォルダの中を確かめます。

無事にスコア譜上の順で並んでいます。

Sibeliusほど秒速ではありませんが、何十曲もある場合Finaleではこの方法が最良だと思います。



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